研究概要 |
1.シンコメロン酸(CA)による生長促進効果 (1)ダイコン幼植物に対する:茎の生長は,CAが10mMにおいて最大となり,コントロ-ルとの比で2.18倍であった.その茎の表皮細胞を顕微鏡で観察したところ,1個の細胞の長さが数倍に伸長し,その幅は約1/2に狭くなっていた.各種植物ホルモンを投与したところ,インド-ル酢酸などによって,若干の生長促進効果が見られた.(2)大腸菌などの微生物に対する:各種微生物(乳酸菌,大腸菌,枯草菌,酵母)中では,E.coli BにおいてCAが0.1〜100mMの広範囲な濃度で顕著な効果が見られた。 2.植物と微生物におけるシンコメロン酸の代謝 [3,4,7,8ー^<14>C]CAを,インタクトなアオウキクサやE.coli Bにin vivoで投与し,一定時間後にそれらの抽出液を調整してラジオHPLCで分析したが,CA以外のピ-クは検出されなかった.また,無細胞抽出液とインキュベ-トしても,CAは変化しなかった.これらの結果から,CAは代謝されないものと思われる. 3.各種ニコチン酸関連化合物の作用 (1)動物培養細胞に対する:3種類の細胞の培地に投与した結果,ほとんどすべてが阻害的であった. (2)アオウキクサの花芽誘導に対する:内因性のニコチン酸,ニコチンアミド,NADの各含量と花芽誘導との間には,直後の関連性は見出せなかった. 4.海産の無脊椎動物におけるホマリンの生合成 各種材料で種々の検討を加えたが,提唱されているグリシンからホマリンへの生合成経路の存在は否定された.
|