研究概要 |
遺伝子構造解析技術の進歩により,蛋白質の一次構造の決定において蛋白質化学的手法,及び遺伝子の塩基配列決定法を,同時に用いることが,最も迅速に多数の蛋白質の一次構造を決定することが可能になっている。従って,計画書に記したように,高度好塩菌リボゾ-ム蛋白質の一次構造解析にこの手法を用いた。即ち,蛋白質L23のアミノ酸配列に基ずいて26残基からなるオリゴヌクレオチドを合成し,好塩菌ゲノムライブラリ-のスクリ-ニングを試みた結果,大腸菌リボゾ-ム蛋白質S10オペロンに相当する8個の好塩菌蛋白質(L3,L6,L23,L2,S3S19,L22,L29)の遺伝子群をクロ-ニングすることができ,それらの塩基配列からアミノ酸配列を推定することができた。このようにして得られた一次構造を,既知の大腸菌及び真核生物のリボゾ-ム蛋白質と比較した結果,4個の蛋白質(S3,S19,L22,L29)は,大腸菌だけに類似し,3個の蛋白質(L3,L2,L23)は,大腸菌と真核生物の両方の蛋白質に類似し,1個の蛋白質(L6)は,真核生物の蛋白質にのみ類似していることが明らかになった。また,これらの好塩菌蛋白質の遺伝子編成を,大腸菌S10オペロンのそれと比較した結果,大腸菌蛋白質L16に相当する好塩菌蛋白質が存在しないこと以外は,それらの配列は高く保存されていることが明かとなった。さらに,5'及び3'末端領域の塩基配列の解析より,3個のリボゾ-ム蛋白質以外の蛋白質遺伝子が存在することも明らかとなった。
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