研究概要 |
1.PCの高感度分析法の開発 PCの分析は試料をODSカラムによるHPLCで分離した後,5,5'ーdithiobis(2ーnitrobenzoic acid)でポストラベルし412nmの吸収で検出する方法で行った.これにより,グルタチオン,(γーGluーCys)_2ーGly (PC_2),(γーGluーCys)_2ーGly(PC_3)の分析が1試料あたり15分程度で可能となった. 2.PC関連物質の経時変化 Schizo.pombeにCdを添加して培養したときの合成されるPC関連物質の経時変化を測定した.培養初期1から2時間)ではPC_2が増加し,その後PC_3の増加に同調してPC_2の減少が認められた.従って,PC_2はグルタチオンあるいはγーGluーCysを基質としていること,ならびにPC_3はPC_2を基質としていることが明らかとなった. 3.PC合成酵素の探索 Schizo.pombeの細胞をスフェロプラスト化した後粉砕し,粗抽出液を得た.これにグルタチオンとCdを加え,インキュベ-ションした後,生じるPCを測定した.その結果,Cdを添加した場合,PCが生成し,2時間程度まで比例的な増加が認められた. 4.PC合成酵素の単離,精製 カドミウムを加えないで培養した酵母細胞を上記した粉砕し粗酵素液を調製した.これを硫安分画,疎水クロマトグラフィ-により精製を進めた.この後,ハイドロキシアパタイトカラムによる分離を試みたが,活性のある画分が得られなかった.また,酵素自身が非常に不安定であることが判明したので,活性の損失をできる限り妨げ得る保存法についても検討を重ねている.
|