研究課題/領域番号 |
02660167
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
空閑 重則 東京大学, 農学部, 助手 (60012051)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1991年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | バクテリアセルロ-ス / 海藻セルロ-ス / 無定形セルロ-ス / マ-セル化 / 透析膜 |
研究概要 |
1.バクテリアセルロ-スの調製法については回転培養条件の改良を進め、培地へのグルコ-スおよび酸素の連続的供給、酸性度の調節により、セルロ-ス生産能率が従来の静置培養より大幅に向上した。また最近新たに公開された菌株であるATCC53582を入手したが、この株はこれまで使用してきたATCC23769と異なり振盪培養してもセルロ-ス生産能が持続するので、これを用いて培養条件をさらなる改善を目指して実験を継続する。 2.セルロ-ス試料として、緑藻であるシオグサの細胞壁セルロ-ス、および天然セルロ-スから特殊な方法で調製された「微粉砕セルロ-ス」(ダイセル株式会社提供)を入手し、その性質を調べた。これらはいずれもバクテリアセルロ-スよりも高結晶性でヤング率の高いシ-トを与えるが、無定形セルロ-スを混合した場合は後者の場合と同様力学的特性は低下した。 3.複合化シ-トの分子透過特性の制御については、バクテリアセルロ-スを中心に溶剤による部分的溶解・膨潤処理を試みたが、機械的強度を保ちながら透過性能を調節することは非常に困難であり、現在までのところでは前年報告したアルカリ処理(マ-セル化)のみが有効であった。 4.調製したシ-トの表面および破断面を透過型および走査型電子顕微鏡で観察し、バクテリアセルロ-スのシ-トでは平たいリボン状のミクロフィブリルが緊密に絡みあい、それらの間に数十ナノメ-トルの空隙ができてこれが溶質の透過する通路となっていることが推定された。またこれをアルカリ処理した膜では結晶構造の変化とともにミクロフィブリルの形態も顕著に変化し、相互の融合も起こって緻密な構造となっていることが分かった。 5.結晶性セルロ-スに無定形セルロ-スを添加するとシ-トの力学的特性は全般に低下するが、詳細な挙動は現在検討中である。さらにシ-トの水との相互作用(吸湿性、湿潤時の伸びと強度低下など)に顕著な変化が期待されるので、これを評価する予定である。
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