研究分担者 |
伊達 宗宏 理化学研究所, 生体高分子物理, 研究員 (50087409)
祖父江 信夫 静岡大学, 農学部, 助教授 (50023495)
鈴木 恭治 静岡大学, 農学部, 助教授 (00109133)
甲斐 勇二 静岡大学, 農学部, 教授 (60022068)
滝 欽二 静岡大学, 農学部, 助教授 (00022252)
鈴木 滋彦 静岡大学, 農学部, 助手 (40115449)
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研究概要 |
本研究では電気的特性を持つと考えられるセルロ-ス誘導体を合成し,それらのセルロ-ス誘導体の圧電性,誘電性等の電気的性質,さらに力学的性質について検討を行った.高圧電性を示す誘導体としてシアノエチルセルロ-ス,硝酸セルロ-スを取り上げた.シアノエチルセルロ-スの場合10^<ー12>C/Nのオ-ダの圧電率を得ることが出来た.セルロ-ス誘導体の中では高い圧電性を有することになる.現在延伸率が100%程度であるので,さらに高延伸の試料を得ることが出来れば高圧電性のものを得ることになる.一方硝酸セルロ-スは比較的に合成が容易でありながら,高い温度域で高い圧電性を示すことが明かとなった.置換度の異なる試料の圧電性を比較すると置換度の大きいほうが高い値を示した.高い温度域では10^<ー12>C/Nの圧電率を示し,シアノエチルセルロ-スに近い圧電率を示すことが分かり,さらに高い圧電性を得ることが出来れば工業材料への利用が考えられる.高圧電性の硝酸セルロ-スを得るために現在検討を続けている.硝酸セルロ-スを合成する前に,セルロ-スの分子鎖を切断し重合度を落とすことにより,より結晶性の高いセルロ-ス誘導体を得ることが出来るものと考えられる.現在,酸加水分解法,放射線照射により重合度を落としたものを用意し硝酸セルロ-スを合成し圧電性を調べつつある.一方,高圧電性を示す硝酸セルロ-スの圧電性,誘電性,力学特性を検討している.硝酸セルロ-スを熱延伸をした場合にその過程で,分子鎖の配列仕方あるいは結晶性の異なる硝酸セルロ-スが生じていると考えられる.圧電性,誘電性,弾性の温度特性を調べると,ー80℃,ー10℃,70℃および130℃に温度分散が認められる.圧電性の低い試料では130℃の温度分散が認められずに,また弾性率も50℃付近から急激に低下してしまう.
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