研究概要 |
1.スギ心材の色調よる分類 測色色差計により種々の色調をもったスギ心材500本のL^*,a^*,b^*値を測定し、明度(L^*)の差によりこれらを6つのグル-プに分けた。それぞれの材のメタノ-ル抽出物について可視吸収スペクトルを測定し、良色心材といわれる赤心と不良色心材といわれる黒心の分光学的特性を明らかにした。 2.スギ不良色心材の脱色 色調の異なるスギ材について種々の条件で脱色処理を行った。その結果亜塩素酸ナトリウム処理は、最も効率よく脱色し、しかも濃度に比例して脱色効果があがるので、色調の異なるスギ不良色心材から均一の色調をもった脱色材を得るのに適した方法であることがわかった。 3.カルス培養によるスギ良色心材色素の生産 スギ材の形成層からカルスを誘導し、寒天培地でこれを培養する技術を確立させた。スギカルスから赤色の色素を生産する培養条件を見いだすために、種々の実験を行った。外植体(スギ)の心材色とカルスの色調との間には、特に関連性を認められなかった。良色(赤色)の色素をもったカルスは、寒天培地の水分が低下したような比較的厳しい条件下で培養され、成長が鈍くなったものに多くみられたが、赤色色素を生産する明確なカルスの培養条件を決定づけるまでには至らなかった。このような実験過程で、植物ホルモンとカルス誘導との関連性について新しい知見が得られると共に、スギカルスは比較的多量のβーシトステロ-ルを生産することもわかった。
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