研究概要 |
昨年度の経果を踏まえて,同様の観測体制で計画を立てていたが,淡水赤潮(Uroglena americana)の大きな発生がなく,急きよ計画変更を余儀なくされ,今年度は培養した赤潮プランクトンを用いた室内実験を行った。実験に使った5種類の赤潮プランクトン(渦鞭毛藻:3種,緑藻:1種,ラフィド藻:1種)について,微粒子蛍光測定装置(以下“本装置"という)を用いて粒径解析を行った。 顕微鏡観察によって調べた各種赤潮プランクトンの平均点サイズと本装置を使って粒子解析した最大カウント数に相当するサイズとの対応は非常に良く,本装置で計測された粒子スペクトルから優占種となる種の推測が可能となり,昨年度の野外実験結果を実証したといえる。しかし,Scrippsiella trochoidea,Chattonella antiquaについて粒子解析した結果,2つのピ-クを持つ粒子スペクトルが得られたが,小粒子範囲のピ-クは顕微鏡で調べたS.tochoidea,C.antiquaの平均サイズに一致生じる流体圧変化が,これらの種を細片化したことが計測後の顕微鏡観察で確認された。この問題は,センサ-部を通過する流速を弱めることで解決できると思われる。 また,本装置の特徴を生かした計測技術を応用して,クロロフィルa濃度を推定する手法の開発を試みた。粒径別ーカウント数分布(粒子スペクトル)から計算できる培養赤潮プランクトンの体積濃度とクロロフィルa濃度の間には,高い正の相関が見られ,植物プランクトンの体積濃度からクロロフィルa濃度の推定が可能であることが示唆された。
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