研究課題/領域番号 |
02660207
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大島 泰克 東北大学, 農学部, 助教授 (60111267)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 麻痺性貝毒 / 渦鞭毛藻 / 系群判別法 / Gymnodinium catenatum |
研究概要 |
渦鞭毛藻Gymnodinium catenatumの伝播の追跡に不可欠な系群判別法として、麻痺性貝毒分析の有効性を検証するために以下の実験を行った。 (1)オ-ストラリア、スペイン、日本から得たG.catenatumを培養基の塩濃度、硝酸塩および燐酸塩濃度を変え、また、培養温度を変えて培養し、その生産する毒を蛍光ーHPLC法を使って分析した。いずれの培養株でも、培養条件による麻痺性貝毒成分の相対比(毒組成)の変動は僅小であり、毒組成がかなり生化学的に安定した形質であることを示していた。一方、1細胞当りの毒量では40〜200femtomole/cell程度の変動が見られ、系群判別の指標としては不適であることが明かとなった。 (2)3地域のG.catenatumの生産する麻痺性貝毒組成の比較では、オ-ストラリア産がC4成分、スペイン産がgonyautoxin6,日本産がC2成分を主成分とするなど、明らかに異なった毒組成パタ-ンを示し、毒組成が系群判別に有効であったことが示された。また、3地域間では同種の最近の伝播が無かったことが推定された。また、タスマニア島で1986年から1989年にかけて季節を変えて分離されたG.catenatum10株の毒組成分析の結果では、同地域では安定して同一系群が発生していることが示された。 (3)分離源の異なる栄養細胞を栄養塩無添加海水中で1週間培養して配偶子を誘導してから交配させた。スペイン2株はオ-ストラリア、日本の培養株と良く接合し、シストを形成したことから、遠隔地由来であっても、有性生殖能が保持されていることを示した。シストの耐久性試験は行えなかったが、G.catenatumはシスト形成まで2ー3週間程度、また、発芽までに要する期間が2ー3週間とAlexandrium属に比較して極めて短いことから、シストの耐久性研究だけでなく、麻痺性貝毒の遺伝学的研究にも有用な実験系であることが明かとなった。
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