研究概要 |
本研究の逐行によって得られた成果は以下のように要約できる。1)トマト蒸発散量から蒸散量を分離するための方法,すなわち礫充填金網容器使用によって蒸発量を直接的に求める方法を開発した。2)トマト株間に置いた計器蒸発量と上記の直接法によって求めた株間礫面蒸発量の開係について実験式を得た。3)10月以降の長期にわたる1日当たりの茎熱収支法蒸散値と水収支法蒸散値-タンク内水位計測で得た蒸発散値に3)で求めた実験式に基づく蒸発量の補正を行って得られる水収支残差量一の比較を行った。そして前者による値は後者による値を上回る結果を得た。 4)トマトの養分吸収形態の特徴を陽イオン成分からみれば,とくにK^+の吸収速度が他成分に比べて顕著に大きい。そして,培養液の電気伝導度の変動に顕著な影響をもたらす成分はK^+,Ca^<2+>であり,Mg^<2+>は緩和作用的働きをもつにとどまることがわかった。5)蒸散による培養液タンク水位低下速度とK^+のトマト吸収速度の間には直接的因果関係は無いことを示すとともに,山崎の方法,すなわちK^+の吸収から蒸散量を推算する方法は蒸散値を過大に評価する可能性を示した。6)トマト培養液電気伝導度,蒸散強度,養分吸収度の三者関係を定量的に論じた。そして,電気伝導度の低下速度は生育時期に大きく影響され,その中身-蒸散強度と養分吸収両者の電気伝導度変化に及ぼす影響度合,さらには養分吸収にともなう電気伝導度の変化分に占めるイオン成分が成果4)に示す結果と一致することを具体化できた。
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