研究概要 |
1.変成岩地帯2地点と花崗岩地帯1地点において、表面から2mごとに10〜14m深さまでの試料を採取し、それらの基本的物理性,突固め特性,三軸圧縮強度特性,透水特性に関する実験を実施し、現地における風化の進行について検討した結果、以下のことを明らかにし得た。すなわち、土の理工学性は深さを増すに従って直線的な変化の傾向を示さず、変化割合の減少する深さや、変化の傾向が逆転する深さ、さらに特異な傾向を示す深さが存在し、地すべりや崖崩れ等の斜面崩壊現象との関連性の存在が推察された。 2.堆積岩由来の粘性土を、水浸・凍結・乾燥(各状態24時間)を1サイクルとして、0,5,10サイクルの処理を施した後、2mmフルイ通過試料(全粒土)、全粒土をゴム栓付ランマ-で破砕した試料(破砕土)にそれぞれ調整し、基本的物理性,突固め,一軸圧縮,応力緩和の各試験を実施すると同時に、ふるい分け後、突固め等の各試験後の試料について耐水性団粒分析試験も実施し、土壌構造の変化を検討した。その結果、いずれの試料においても処理土の方がpF1.0〜1.5以下の保水性は低く、最適含水比も低い。最大密度と最大一軸圧縮強度は大きく、最適含水比以上の水分状態での緩和時間は長くなることから明らかとなった。平均質量直径の変化の着目すると、団粒土の処理試料にのみ特異な傾向が認められ、風化処理に伴って団粒構造が著しく質変化していることが明らかとなった。 3.土壌構造をフラクタル次元で定量的に把握する場合、間隙構造と固相構造の二つの面からのアプロ-チがある。前者についてはX線撮影法の技術力の不足もあって今回は目的を達成し得なかったが、後者についてはSEM写真を使用すれば目的を達成し得ることを実証した。
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