研究概要 |
下記1〜3と5の試験は,関東ロ-ム畑土壌(土性:CL,LiC)で行った。 1.ロ-タリ耕うんにより,耕土は後方へ25〜50cmほど移動することが確認された。また,前方へも一部の耕土が飛散しているケ-スがある。試験結果をみると,ダウンカットロ-タリは耕土の反転性がアップカットロ-タリより劣ると推定される。なお,ダウンカット方式では耕うんピッチの増加に伴い耕土の反転性が低下する傾向を明確に示したが,アップカット方式では前記の傾向が認められなかった。 2.歩行型耕うん機(なた爪)の試験結果によると,指標硬度7mm以下の土壌では,耕土の反伝性が低下する傾向が認められた。しかし,それ以上の土壌硬度では,耕土の反転性に影響がないものと考察される。 3.耕うんピッチ42.4mmの場合,現行なた爪の方が緩曲広幅爪より,耕土の反転性が良いという結果になった。しかし,耕うんピッチ63.1mmの場合,両耕うん爪間に耕土の反転性の明確な差異は生じなかった。 4.山砂(土性:S,LS)による試験結果と関東ロ-ム試験結果を比べると,山砂の方が耕土の反転性において僅かに優れているように見えるが,試験条件が異なる点もあるので優劣については断定できない。 5.簡易な試験法として,高濃度のKC1溶液散布法を試みた。散布量の変動係数は散布幅方向が進行方向より大きな値を示した。その分散分析結果でも,散布幅方向は1%水準で有意差が認められた。散布量の変動を絶対値で計算すると2.7〜4.1%の範囲であった。試験区にKC1溶液を散布した結果,その浸透土壌のEC値は,散布幅方向で約5.5%の変動が認められた。しかし,この程度の変動は実用上さしつかえないものと推察される。なお,上層(0〜5cm)土壌のEC値では,散布幅・進行方向とも有意差が5%水準で認められない。諸結果、より,高濃度KC1溶液散布による土壌の反転性判別法は,実現の可能性があるものと推察される。
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