研究概要 |
自脱コンバインの脱穀部における脱穀作用には,扱歯で引張り,しごく作用と受網との摩擦,送じん弁との摩擦等があげられる。本研究では主として扱歯による脱穀作用を明らかにすることを目的とした。そのため,市販の自脱コンバインの脱穀部部品を用いて,脱穀力測定装置を試作し,実験を行った。扱歯の脱穀作用は,扱歯の設置条件(傾斜角,進み角,取付け角,植え付けピッチ,図転ピッチ)によって異なる事が判っているため,実際の扱胴の設置条件に合わせて,かつ,扱胴本体とは独立しているが同一回転速度,回一回転半径で回転する脱穀力測定用扱歯を取り付けた。測定点は,脱穀力測定用扱歯にかかる曲げ及び捩りモ-メント,脱穀部の駆動トルク,扱胴の回転数である。供試稲は金南風を用い,一束約1kgfの重量の稲を供給した。脱穀時の測定項目は,扱胴通過前後の稲束の重量,受網下及び扱胴後部に排出される籾及び穂部の重量で,これらから脱穀率と累積脱穀率を求めた。 実験結果からは,以下の事が明らかになった 1)扱歯一枚は,一回の稲束の通過の間に6回打撃する。 2)1回の打撃に要する時間は約0.01〜0.02秒で,扱胴の回転速度に等しい。 3)脱穀力は進み角が大きくても小さくても,標準の場合より大きくなる。 4)脱穀率は,扱歯の進み角が大きくなるに従って増加する。 5)脱穀力に影響を及ぼすのは,同時打ち込み型の扱歯よりも,時間的に進み又は遅れの関係にある扱歯の方が大きい。
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