研究概要 |
各家畜の赤血球抗原に対するモノクローナル抗体を作成し、抗体の特異性を分析するとともに、それらを用いて血液型の判定を行い家畜における血液型判定用モノクローナル抗体の開発と利用のための基礎的研究を目的とした。さらに肉種鑑別用モノクローナル抗体の開発にも着手した。研究成果の概要は以下のごとくである。 1.開発された血液型判定用モノクローナル抗体は、牛用がA、B,C,F,S及びZシステムに属する計38種、馬用がA,C,Pシステムに属する8種、水牛用が13種、山羊用が9種であった。 2.これらモノクローナル抗体の特異性を分析したところ、これまで同一システム内の亜型関係にあるとされてきた抗原を認識する抗体はいずれも量的反応を示した。すなわち、牛のAシステムにおけるA_2抗体は低希釈倍率ではA_2抗原を、また高希釈倍率ではA_1抗原を認識することが判行した。同様の成績はFシステムにおけるFc/F_1、SシステムにおけるS_2/S_1、U_3(SU)/U_2/U_1、また馬におけるAシステムのAa/Ac、PシステムのPa/Pc、水牛におけるNW-3/NW-8/NW-2において認められた。 3.モノクローナル抗体は単一の抗原エピトープをとらえる特性を保有することより、各家畜における共通性抗原を分析したところ、牛AシステムのA_2、H、FシステムのFc、Sシステム抗原のいくつかは水牛と山羊にも、またCシステムのX_2抗原は水牛にも存在することが判明した。 4.肉種鑑別用モノクローナル抗体を開発するため、まず馬ミオグロビンを抗原として作成を試みた。得られた抗体につきELISA法により分析を実施したところ、9株が馬肉汁に強く反応した。このうちの1株は馬に特異的であり、クローニングにより馬の肉汁に対するモノクローナル抗体が得られる可能性を認めた。
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