研究概要 |
本研究は、熱帯性ギンネムの高度利用を目的として、飼料生産の過程で得られた発酵ギンネムの熱水抽出液がラットの血圧、血漿脂質および主要臓器の病理学的所見に及ぼす影響について検討した。ギンネム茎葉部はサイレ-ジ調製後、120℃で乾燥しミモシンを完全に除去、本材料による熱水抽出液を以下の実験に供した。すなわち、実験用ラット(高血圧疾患モデルSHRラット及び高脂血症ラット)に12週間ギンネム抽出液を自由飲水させ、定期的に血圧、増体量及び飲水量を測定し、ウ-ロン茶及び水道水投与群(対照群)と比較検討した。試験終了後、採血して血漿を分離し総コレステロ-ル(TC)、HDLーコレステロ-ル(HDLーC),トリグリセライド(TG)及びリン脂質(PL)の各含量を測定した。得られた結果は以下の通りである。1)ギンネム熱水抽出液中のカルシウム含量は1281mgとウ-ロン茶抽出液の約50倍であったが、他の一般成分に目立った差は見られなかった。2)SHR及び高脂質症ラットの最高血圧値は、ギンネムおよびウ-ロン茶抽出液のいずれも対照群に比べて血圧の上昇抑制作用がみられた。3)SHRラットの血漿TC,HDLーC,TC及びPL値は、いずれもギンネム抽出液投与群が対照群に比べてやや高い傾向にあったが、HDLーC,TC及びPL値は、いずれもギンネム抽出液投与群が対照群に比べてやや高い傾向にあったが、HDLーC/TCは各投与群ともほぼ同じ値を示し、ギンネム及びウ-ロン茶投与によるコレステロ-ル値への影響は特に認められなっかた。しかし、高脂血症ラットにおける血漿TC,TG及びHDLーC/TCは、ギンネム及びウ-ロン茶の両投与群ともに対照群に比べて有意に低い値となり、血漿脂質の上昇抑制作用がみられた。4)SHRラットの肝臓、腎臓における組織学的検索の結果、ギンネム抽出液投与の影響を明らかにすることは出来なかった。一方、高脂血症ラットにおけるギンネム抽出液投与は肝臓の脂肪沈着を低下させる効果のあることが示唆された。
|