研究概要 |
本研究では,泌乳ラットでの性腺刺激ホルモン分泌調節及び卵巣機能調節機構を解明する一端として,薬理学的及び免疫学的方法を用いて副賢皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)・副賢皮質刺激ホルモン(ACTH)系を活性化させ,黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌並びに卵巣機能に及ぼす影響について検討した。 1.薬理学的副賢皮質摘出法による検討 Corticosteroneの生合成酵素抑制剤であるMetyraponeを投与して副賢皮質からのCorticosterone分泌を抑制した泌乳ラットを用いて検討した。即ち,泌乳15日のラットの卵巣を摘出し,Metyraponeを投与して泌乳17日に乳子による吸乳刺激実験を行った。その結果、ACTH分泌が促進され,逆に血中LHとFSH濃度が対昭群に比べて著しく低下した。 2.免疫学的副賢皮質摘出法による検討 抗Corticosterone抗体を投与して内因性Corticosteroneを中和した泌乳ラットを用いて検討した。即ち,泌乳15,17,19日の3回抗Corticosterone血清を投与し,泌乳20日に人絨毛性性腺刺激ホルモン投与による排卵試験法により卵胞発育を調べた結果,抗Corticosterone投与群では,明らかな卵胞発育の抑制が観察された。 以上の成績から,泌乳ラットの副賢皮質から分泌されるCorticosteroneの分泌を抑制すると視床下部からCRHが大量に分泌され,そのCRHが黄体形成ホルモン放出ホルモンの分泌を抑制し,下垂体からのLHとFSHの分泌が低下することにより,結果として卵巣での卵胞発育が抑制されたものと推察された。
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