研究概要 |
日本の野外ネコから、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)を2株(FIVーTM1,FIVーTM2)分離した。これらの株から、Hirt法によりウイルスDNAを調整し、サザンブロット法による解析を行ったところ、米国において報告されたFIVーPetaluma株とは、異なる制限酵素切断パタ-ンを示した。 今回我々は、FIVーTM2株よりプロウイルスDNAのクロ-ニングを行い、全塩基配列を決定し、その塩基配列から推定されるgag、pol env及びその他の領域についてFIVーPetaluma株との比較を行った。 その結果、FIVーTM2株は、制限酵素地図上では、FIVーTM株とほとんど差異が認められず、FIVーPetaluma株とは大きく異なっていることが見い出された。またgag,pol領域では、FIVーPetaluma株を約90%の高いアミノ酸相同性を示したがenv領域では、80%の相同性であり、FIVにもenv領域の多様性が存在することが示された。セントラル領域については、vifと考えられるORFとその他に短いORFが存在した。env領域の3側にも短いORFが見い出されており、そのN末端には、HIV/SIVのrevと相同性を示す塩基性アミノ酸が存在していた。これら短いORFはFIVーPetaluma株にも共通にみられ、調節蛋白質として機能している可能性に関して、現在詳しく検討している。
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