研究概要 |
自律神経活動に対するプロスタノイドの作用を、モルモット輸精管に分布している下腹神経(アドレナリン作動性神経)と,腸壁内神経叢(主としてコリン作動性神経)を用いて検討した。 輸精管による実験:摘出モルモット輸精管において、下腹神経の節前あるいは節後刺激により,速い一過性の収縮(ATP由来)と,それに続く持続性の収縮(ノルエピネフリン由来)よりなる二相性の収縮がみられる。インドメタシン(IND)は節前刺激による収縮を抑制するが,節後刺激の効果に対しては影響がない。このINDによる抑制はPGE_2により回腹する。PGE_2は又,第一相の収縮の立ち上がりを遅らせると共に,第一,第二両相の収縮を強める。外部より投与したATPおよびNE収縮もPGE_2により増強される。節前刺激による収縮はホスホリパ-ゼ抑制薬であるメパフリン,あるいはPGE_2受容体の拮抗剤であるSCー19220処理によっても抑制される。PGE_2,アラキドン酸はこれらの抑制を回腹させる。 壁内神経叢よりのACh放出:ニコチンあるいはサブスタンスPによるACh放出はINDにより対照の40%に迄抑制されるが,5ーHTあるいは経壁刺激によるそれは影響されない。メパクリンも,IND同様ニコチン,SPによるACh放出を抑制する。IND抑制はPGE_2,PGI_2により回復し,PGI_2の方がより有効である。これらの回復効果はAーキナ-ゼ抑制薬であるHー89によって消失する。PGD_2,PGF_<2α>,TXA_2はIND抑制を回復させない。PGI_2はPGE_2の約5倍量組織から放出される。経壁刺激によるACh放出は5ーリポキシゲナ-ゼ抑制業により抑制され,抑制はアラキドン酸,5HETE,LTD_4,LTE_4により回復するが,LTB_4,LTC_4は無効である。 以上より,種々の内因性プロスタノイドが細胞内サイクリックAMP系を介して自律神経活動の維持に必須であるが、その種類は、対象となる神経および神経刺激の種類により著しく異なると結論できる。
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