研究概要 |
全国360カ所の動物病院において,平成2年9月1日から平成3年8月31日までの間,診療を受けた犬,猫のうち,死亡した個体について,死亡年齢,死因,宿主要因(種,性)および生活環境要因(地域,季節,飼育形態,飼料内容など)を指定した基準に従って,担当獣医師に所定の調査用紙に記入願った。記入済み調査用紙は3ケ月毎にまとめて研究室に郵送願った。これまでに,犬5081頭,猫3032頭のデ-タを回収し整理を終了したが,約15%の個体に欠損デ-タがみつかったため,現在これらについては,該当する動物病院に問い合せ中である。今回は取り敢えず,欠損デ-タを除いた犬4321頭,猫2368頭について生命表を作成し,算出した平均余命ならびに死因割合を求めた結果について以下の通り報告する。 1.犬と猫の死亡デ-タから作成した生命表をもとに,算出した0歳の平均余命(平均寿命)は,犬8.0歳,猫5.0歳であった。 2.品種別の平均寿命は,犬では雑種が8.1歳,純血種が7.9歳,猫では雑種が4.8歳,純血種が5.4歳,犬,猫とも純血種と雑種間に有意な差は見られなかった。 3.性別の平均寿命は,犬では雄が7.8歳,雌が8.3歳,猫では雄が4.4歳,雌が6.1歳で,犬,猫とも雌は雄に比べ長い傾向がみられた。 4.死因割合は,犬では感染症によるものの割合が15.8%であったのに対し,猫では37.3%を占めていた。感染症のうち,犬ではフィラリア,猫では汎白血球減少症によるものが最も多かった。
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