研究概要 |
東京都区内のビルのレストラン15カ所で捕獲されたネズミ(おもにクマネズミ)約1,200匹における各種病原微生物および内部寄生蠕虫類の保有状況を調査した。 (1)Salmonellaの検出率は全体として1.5%(17/1129)であった。各血清型の分離菌株数は,S.Enteritidis1株,S.Hader5株,S.Isangi2株,S.Litchfield2株,S.Senftenberg1株,およびS.Typhimurium6株であった。 (2)Yersinia 属菌の検出率は29.8%(348/1169)であった。菌種別では,Y.frederiksenii15.1%,Y.enterocolitica 15.0%,Y.intermedia 4.2%,Y.kristensenii1.0%であった。 (3)Staphylococcus aureusの検出率は18.1%(165/910)であった。生物型については,型別不能株が47.9%と最も多く,ついでG型(20.0%),B型,A型,C型,D型であった。コアグラーゼ型については,V型の55.7%が最も高く,ついでVII型,III型,I型,VIII型,IV型の順であった。 (4)Vibrio 属菌は13.3%の検出率であった。菌種別ではV.cholerae non-01 6.2%,V.fluvialis 5.6%,V.parahaemoliticus 1.5%,V.alginolyticus 3.2%,V.furnissii 2.6%,V.metschnikovii 0.7%であった。V.parahaemoliticusは26血清型に分れ,神奈川現象は全て陰性であった。 (5)Listeria 属菌の検出率は19.2%(133/692)で,菌種別ではL.monocytogenes 9.0%,L.innocua 10.5%であった。L.monocytogenesの血清型は,検出率の高い順に4b,1/2b,1/2a,1/2c,7であった。 (6)Campylobacter 属菌は検出されなかった(0/519)。 (7)Leptospira 属菌は,約150検体の腎乳剤をモルモット接種したが,陰性であった。 (8)内部寄生蠕虫類は7種検出され,線虫類は Protospirura muris(8.0%),Capollaria hepatica(1.8%),Strongiloides ratti(1.3%)およびHeterakis spumosa(0.4%)の4種であり,条虫類は Hymenolepis nana(9.8%),Hymenolepis diminuta(1.8%)および Cysticercus fascislaris(0.9%)の3種であった。
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