研究課題/領域番号 |
02670014
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解剖学一般
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
菅沼 龍夫 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (60115350)
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研究分担者 |
生沼 勉 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (20168842)
川野 純一 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10136822)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 複合糖質 / レクチン / GSAーII / 消化管 / 副細胞 / 組織化学 / bromodeoxyuridine / 個体発生 / 胃 |
研究概要 |
哺乳動物の消化管粘膜上皮では胃の噴門腺、胃底腺副細胞、幽門腺細胞、十二指腸ブルンネル腺細胞のみがNーアセチルグルコサミン(GlcNAc)を特異的に認識するレクチンGriffonia simplicifolia agglutinin(GSA)ーIIにより染色されることが明かとなり、一つの細胞亜群を形成していると言える。なかでも胃底腺副細胞は脊椎動物のなかで、両生類、爬虫類にも存在し、粘液の糖鎖未端に哺乳類と同様にGlcNAcが存在することが確認された。このことは系統発生学的に粘液糖鎖が保存されたいることが示唆するものである。 I.平成3年度は本研究課題の一つとしてXenopus laevisおよび変態期の幼生の胃粘膜をthymidineのアナログであるbromodeoxyridine(BrdU)を投与して副細胞の発生分化を免疫組織化学的に検討した。 1.BrdUを2週間投与した集積標識法で、成体の胃底腺では増殖帯が表層粘液細胞と副細胞との間、即ち胃底腺頚部にあることがわかった。 2.副細胞のラベリングインデックスは5週目まで急速に増加したが、一方oxynticopeptic cellのラベリングインデックスは、副細胞のそれよりも遅れて増加し、副細胞のラベリングインデックスが減少する7週目でピ-クとなった。 3.幼生の未熟な胃底腺ではBrdUを2時間投与するとラベルされた細胞は発達中の胃粘膜全体にランダムに分布していた。変態期の未熟な上皮細胞のラベリングインデックスはステ-ジ63で最高値を示した。 4.ステ-ジ63でBrdUを2時間投与した幼生では変態終了までラベルされた細胞の有意な減少は見られず投与後7日目でも表層粘液細胞/増殖細胞、副細胞、oxynticopeptic cell、それぞれの上皮細胞間でラベリングインデックスの有意な違いは見られなかった。 これらの結果から、成体では増殖細胞は腺頚部に存在し表層方向には表層粘液細胞に直接分化し、下層方向には副細胞または副細胞とoxynticopeptic cellとの中間型細胞を経由してoxynticopeptic cellへの分化が進むと考えられる。また幼生の胃底腺形成期では未分化細胞から表層粘液細胞、副細胞、oxynticopeptic cellへのそれぞれの細胞タイプへの分化と細胞移動が進行し胃底腺が形成されると思われる。 II.上記胃底腺副細胞を特徴付けるGSAーII認識糖蛋白質をラット胃粘膜より精製した。 1.昨年度に引続きラット胃粘膜のグアニジン塩酸緩衝液可溶性画分をSephacryl Sー1000カラムでゲル濾過し、void画分にGSAーII認識糖蛋白質を得た。更にこの画分を濃縮後、RCAーIアガロ-スおよび、GSAーIIアガロ-スカラムによるアフィニテイ精製を行う方法を確立した。 2.上記方法でGSAーII認識糖蛋白質を大量に精製することに成功し、core蛋白質を分離するためにdeglycosylationの方法をtrifluoromethanesulfonic acid(TFMS)を用いて検討し、本糖蛋白質のcore蛋白質部分の精製方法を確立することが出来た。 このように分子量数百万のGSAーII認識糖蛋白質からcore蛋白質の精製方法を確立するのに時間を要したが、このcore蛋白質を抗原として抗体作製およびその免疫組織化学更に遺伝子クロ-ニングへと本研究課題を促進できる基盤作りが完成した。
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