研究概要 |
二年間の科学研究を通じて以下の如き結果を得た。 1)レクチンを用いた超薄切片染色法によるglycosylation processの解析。 Lowicryl K4M包埋切片を用いglycosylation sitesの解析を行なった。ゴルジ装置のcis側はDBA,HPA,SBAにより標識された。ゴルジ装置のtrans側とそれに続く分泌顆粒はHPA,RCAー1で標識され、UEAー1,LEAはゴルジ装置のtransmostを標識した。超薄切片染色法によりゴルジ装置でのglycosylationの過程が明らかになった。 2)レクチンを用いた包埋前染色法によるglycosylation processの解析。 包埋前染色法によりglycosylation processの解析を行なった。MPAは核膜周囲腔、粗面小胞体内腔、ゴルジ装置のcis側を標識した。DBAもゴルジ置のcis側を標識した。ゴルジ装置中間層はPNAで染まり、trans側はRCAー1,UEAー1,LFAで標識された。分泌顆粒はRCAー1,UEAー1,LFAで標識された。この方法でもglycosylationの過程は明らかになった。 3)ABO血液型物質に対するモノクロ-ナル抗体によるglycosylation processの解析。 モノクロ-ナル抗体を用いてゴルジ装置を中心にglycosylation processを解析すると、抗A抗体を全層を標識する。抗Bと抗H抗体はtrans側を標識し、ゴルジ装置での標識パタ-ンに違いがみられた。 4)カチオン化コロイド金を用いた酸性複合糖質の染色法の開発。 カチオン化コロイド金を作り、染色液のpHを変える事でシアル化複合糖質、硫酸化複合糖質を分染する方法を開発した。本法は光顕、電顕の両方で用いる事が出来、光顕では明視野、暗視野両方での観察が可能である。 5)硫酸化複合糖質の証明法として高鉄ジアミン染色法の改良。 酢酸銀を用いる物理現像法を導入して染色の改良を試みた。方法は現像を明室で行ないうる再現性のあるよい改良法である。
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