研究課題/領域番号 |
02670026
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
細谷 安彦 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (60100145)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 視床下部 / 室旁核 / 下行性投射 / ノルアドレナリン / 上唾液核 / 交感神経節前細胞 / PHAーL / コレラ毒素B / 免疫組織化学 / A5群 |
研究概要 |
初年度は視床下部室旁核からの下行性投射を順行性標識法であるPHAーL法により脳幹から脊髄まで調べたところ、室旁核から上唾液核への強い投射が明らかになった。しかし、上唾液核を構成する副交感神経節前細胞はA5群のノルアドレナリン産生細胞と混在もしくは近接して位置するので、両者を区別して、投射の有無を検討する必要がある。そこで、PHAーL法で室旁核の下行性線維を標識し、上唾液核の細胞はHRPを大錐体神経にあてがうことで逆行性に標識し、さらに、ノルアドレナリンの合成酵素であるDβHを免疫組織化学で染め出すことでノルアドレナリン産生細胞を標識する、3重染色を適用して、詳細に検討した。この結果、室旁核の下行性線維はA5群のノルアドレナリン産生細胞に終わる念珠状の線維が観察された。また、上唾液核細胞の周りには室旁核由来の下行性線維の終末が近接して存在する様子を観察する事が出来た。2年度は、コレラ毒素B(CTb)を上頚神経節に圧注入して、交感神経節前細胞を逆行性標識し、さらに、室旁核の下行性線維をPHAーLで順行性に標識して、室旁核の下行性線維が脊髓の交感神経核に終わることを証明する事を目的とした。この結果、CTbは逆行性標識物質として、これまでの、HRPに代る感度の高いトレ-サ-であることが判明した。CTbによって標識された交感神経節前細胞はC8からT6の交感神経核に出現し、それぞれの核が交感神経節前細胞の樹上突起によって結び付けられ、いわゆる梯子状配列を示す事が分った。室旁核の下行性線維はこの梯子状配列に一致して出現するが、交感神経節前細胞との直接結合は、主に、第X層にある背側交連核に見られた。これらの結果は室旁核の下行性線維は交感神経節前細胞の樹状突起に終止して、交感神経系の活動を直接的に統御していることを示すものである。今後に残された課題として、これまで見てきたように、室旁核が交感神経節前細胞と副交感神経節前細胞を同時に支配しているのであれば、どのように両者を区別して支配しているのであろうか、その形態学的な基盤を証明することが出来るのあろうか、等が今後に残された課題であると考えている。
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