研究概要 |
ラット視床下部室傍核のTRHニュ-ロンのカテコ-ルアミン(CA)性およびニュ-ロペプチドY(NPY)性神経支配ならびに、CA・NPY共存性神経支配を調べるために、NPYならびCA合成酵素であるtyroーsine hydroxylase(TH),dopamineーβーhydroxylase(DBH),phenylethanolamineーNーmethyltransferーase(PNMT)抗体を用いて、三重免疫電顕法によって観察した。Wistar系雄ラットを用いて潅流固定後ビブラト-ム切片を作成し、NPY抗体を用いてPAP法とTH、DBH、PNMT抗体を用いてビオチン化二次抗体ーフェリチンアビジン法による包理前二重免疫染色を行ない、オスミウム酸後固定後樹脂に包理した。超薄切片上でTRH抗体と金コロイド標識二次抗体を用いて免疫染色し、電顕的に観察した。 まず、二重免疫電顕法にて室傍核内のCAとNPYの共存終末を観察した結果、NPY免疫陽性を示すPAP反応産物は終末内の小型の暗調果粒にみられ、TH,DBHおよびPNMT反応陽性を示すフェリチン粒子は主に基質内に散在性にみられた。三重免疫電顕法にて観察した結果、金粒子で標識された小型のTRH免疫陽性果粒を有するニュ-ロンに、TH,DBH,PNMTあるいはNPY陽性終末がそれぞれシナプス形成している像、さらにTH,DBHあるいはPNMTとNPYの共存終末のシナプス形成像が観察された。 以上の結果から、室傍核のTRH含有ニュ-ロンにシナプス形成しているCAニュ-ロンの一部にNPYを含むものもあることがわかった。この結果は、第95回日本解剖学会総会(1990、東京)にて発表した。また、同様の手技を用いてオキシトシン含有ニュ-ロンへのCA・NPY共存ニュ-ロンの神経支配についての結果も第3回日米組織細胞化学会(1990、シアトル市)にて発表した。
|