研究概要 |
初年度(平成2年)においては,妊娠ラット(妊娠日数15ー22日)および去勢ラットにエストラヂオ-ルの注射を施し1ー3日経過後の子宮について,縦走筋,輪走筋を分離摘出し,人工栄養液(Krebs組成)にて潅流を行い,ブタレラキシン(以下レラキシン,米国NIHより供与)の効果を観察した。まず,収縮活動(自発性,電気パルス刺激による)を指標により,レラキシンの使用濃度を50mUー150mUにして用いる方針を立てた。NIHよりのレラキシンの供与は,1回に1mg(3000guinea pig unit)のため,高濃度の使用は避けねばならなかった。妊娠17日の輪走筋について,レラキシンの収縮抑制効果には,栄養液にMgイオンand/orプロゲステロンの存在が必須であることが見出された。後者は,新しい所見であるが,その機序の説明は困難な現状である。縦走筋に対しては,180mUの濃度でも収縮抑制は,極めて弱かった。 なお,同時に膜電流測定のための単離細胞の作製を開始した。プラト-電位を示す輪走筋単離細胞は,単一細胞段階では困難であり,5ー6個の細胞のbatchについては可能という現状である。申請購入したTLー1インタ-フェイス,パッチクランプバ-ジョン55は,この目的に使用中である。 去勢ラットについて,レラキシンの収縮抑制効果は,エストロゲン投与後3日において子宮縦走筋,輪走筋共に強くなる。この効果は外液Mgにより増強されるが,妊娠子宮においてのように必須ではないことが見出された。 平成3年度は,2年度を受け,エストロゲン優位子宮の縦走筋について,集中的に実験することとし,現在に至っている。
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