研究課題/領域番号 |
02670042
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
村上 政隆 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10104275)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 細胞緩衝能 / 細胞内PH / 細胞内アンモニウム / 細胞内Na / NMR(多核) / 唾液腺 / アンモニウムパルス実験 |
研究概要 |
本研究は、灌流ラット顎下腺を用い、核磁気共鳴法で唾液腺細胞の緩衝能とNa流入量、H流出量の関係について明かにし、Na/H交換輸送の緩衝能への寄与を推定する目的で実施された。 1)31P NMR(核磁気共鳴)で細胞内無機燐の化学シフトから細胞内pHを連続的に測定した。アルカリ負荷として塩化アンモニウム(20mM)を与えると細胞内pHは急速に5分で0.5pHunit上昇し、その後塩化アンモニウム負荷中、細胞内pHは低下し、静止レベル以下になった(20分でpH6.6にまで低下)。これは、物理化学的な緩衝以外の細胞性の緩衝機能が活性化したことを示した。 2)塩化アンモニウムを負荷すると、細胞内外のアンモニウムイオンはすみやかに平衡に達すると仮定されてきた。今回はじめて、この細胞内外のアンモニウムを14N NMRを用い経時的に測定することができた。塩化アンモニウム(20mM)を与えると細胞内アンモニウムイオンはすみやかに増加し、細胞内液あたり60mM濃度に達した。細胞内のアンモニウムイオンのNMR法による定量の為には緩和時間のpH依存性、常磁性イオンなど想定される細胞内環境の変化による影響を調べるために基礎実験を行った。 3)細胞内に大量にアンモニウムイオンが流入するときに、通常分泌が行われるときに輸送されているNa,Kなどの輸送は影響をうけているのかどうかを23Na 39K NMRにより、細胞内Na量、K量の変化を測定しはじめたが、アンモニウムイオンが流入するときこれらのイオンが大量に膜を横切り輸送されていることが明かになった。Na/H輸送阻害剤を与えると、アンモニウム負荷による細胞内Na増加が抑制されることから、Na/H交換輸送系の寄与が存在することが明かになった。 今回の結果は唾液腺細胞の緩衝能を測定する目的より出発し、アンモニウム負荷時にアンモニアイオンがアンモニアとして細胞膜を横切るのみならずイオンとしても輸送されることが示唆された。
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