研究課題/領域番号 |
02670044
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福島 菊郎 北海道大学, 医学部, 助教授 (70091486)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1991年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1990年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 耳石器 / 垂直直線加速度 / 眼球運動 / 耳石器眼反射 / カハル間質核 / 前庭核 / 垂直半器官 / ネコ / 直線加速度 / 視覚 / 前庭眼反射 / 脳幹 / カハル間貭核 / 垂直眼球運動 / 迷路破壊 |
研究概要 |
耳石器入力の眼球運動における役割を調べるために、覚醒ネコを用い正弦波状の垂直直線加速度刺激(0.2ー0.85Hz,振幅10.5cm)に対する眼球運動応答を調べた。明所(静止視覚パタ-ンの呈示状態)では明らかな補償性位相の応答が刺激周波数に関係なく得られたのに対し、暗所では位相の先行した小さな応答であった。明所での応答は、視覚入力単独刺激(視機性刺激)による応答とは異なること、また両側迷路破壊ネコに対し明所で直線加速度刺激を加えたときの応答とも異なることから、耳石器入力と視覚入力の干渉により得られた応答であると結論された。この干渉の脳幹神経機構を調べるためにカハル間質核と前庭核から記録を行なった。カハル間質核の眼球運動関連ニュ-ロンは明所で、誘発される眼球運動と密接に対応した応答を示し、暗所ではその大多数は応答せず、小数の応答ニュ-ロンの位相は先行した。従って、これらニュ-ロンは耳石器と視覚入力の干渉の結果を受け、干渉はその前の段階で起こると考えられる。これら以外のカハル間質核ニユ-ロンについてさらに解析を行なうと、明所で直線加速度刺激に応答したニュ-ロンの多数は耳石器単独刺激にも応答し、更にその大多数は視覚刺激にも応答した。このうち数個について明所での応答は耳石器と視覚の単独刺激による応答から計算された応答とほぼ一致した。この結果はカハル間質核内の眼球運動関連ニュ-ロン以外のニュ-ロンで耳石器と視覚入力の干渉が起こることを示唆する。垂直半規管刺激に応答するニュ-ロンを前庭核から記録し、それらに対する耳石器の単独刺激効果を調べた。大多数のニュ-ロンは直線加速度刺激に応答しなかった。これらの中には垂直眼位信号を有する前庭核ニユ-ロンも含まれていた。小数の前庭核ニュ-ロンは直線加速度刺激にも応答し、これらは耳石器と視覚入力の干渉に関与する可能性が示唆される。以上の結果は耳石器入力と視覚入力の干渉によって生ずる補償性眼運動の形成には少なくともカハル間質核と前庭核の複数の脳幹領域が関与し、それは眼球運動関連ニュ-ロン以外のニユ-ロンでまず起こることを示唆する。
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