研究課題/領域番号 |
02670046
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 自治医科大学 (1992) 東京大学 (1990-1991) |
研究代表者 |
永雄 総一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40164397)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1992年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 小脳 / 運動系 / 前庭動眼反射 / 追跡眼球運動 / 日本ザル / 学習制御 / シナプス / 可塑性 / 可望性 / 猿 / 可朔性 / プルキンエ細胞 / 運動学習 / 長期抑圧 / 制御 |
研究概要 |
小脳が運動学習に深く関与していることが、前庭動眼反射(VOR)を代表とする眼球反射の適応性変化における小脳片葉の役割の研究結果から強く示唆されている。しかしながら、小脳中で運動学習の原因が生じるのか、それとも単に運動学習に必要な信号が小脳を通過しているだけであるのでないかと見解が大きく分かれている。この論点の食い違いには、片葉の神経細胞にはVOR(反射)に関与するものと、追跡眼球運動をはじめとする随意運動に関与するものがそれぞれ独立に存在していることが根底にあり、それらを区別しているかによって見解が異なるのでないかと想定される。そこで、VORに特異的に応答するプルキンエ細胞と追跡眼球運動に特異的に応答するプルキンエ細胞の空間的分布を片葉とそれに隣接する腹側傍片葉において、生理学及び解剖学的に検討した。その結果、VORに選択的に反応するプルキンエ細胞は、片葉に存在するのに対して、追跡眼球運動に選択的に応答するプルキンエ細胞は、腹側傍片葉に存在することが明かになった。さらに、片葉と腹側傍片葉の解剖学的特徴を検索してみたが、片葉は主に前庭神経核に出力しているのに対して、腹側傍片葉は主に小脳歯状核に中位核に出力していた。また片葉には、前庭神経筋や前庭核、橋被蓋網様核から苔状線維が主に入力していたが、腹側傍片葉には、橋被蓋網様核や橋核から苔状線維が入力していた。一方、下オリーブ核内の起始細胞は、片葉、腹側傍片葉ともに内側副核に存在した。これらの所見を総合すると、猿の片葉は、前庭系からの頭の信号を、登上線維系の誤差信号を使って修飾してVORを制御しているのに対して、腹側傍片葉には、主に橋由来の視標の速度ないし眼球運動の速度を、登上線維系の誤差信号を使って修飾しその結果を小脳歯状核ないし中位核に送り、随意運動である追跡眼球運動を制御していると考えられる。
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