研究課題/領域番号 |
02670051
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
有働 正夫 大阪大学, 健康体育部, 教授 (60009983)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 大脳基底核 / ド-パミン遮断 / 線条体・黒質網様部シナプス / GABA作動性シナプス / 興奮性シナプス伝達 / 脳内微量透析 / イボテン酸 / 代償過程 |
研究概要 |
本研究においては、大脳基底核内の線条体・黒質網様部シナプス伝達(GABA性)が、黒質網様部に放出されるド-パミンの減少または過多によって変調され、歩行制御に影響する様式をしらべた。 (1)ネコの大脳基底核黒質網様部に、ド-パミン受容体の遮断剤であるSCH23390をマイクロシリンジを用いて1日20μgずつ、5ー7日間注入した。黒質網様部ニュ-ロンの単一放電を記録し、線条体を刺激することにより、線条体・黒質網様部のシナプス伝達をしらべた。その結果、SCHの注入後には、短潜時の興奮性シナプス伝達および短潜時の抑制性シナプス伝達が亢進していることがわかった。興奮性シナプス伝達の亢進は、歩行運動の発現を妨げる方向にはたらき、パ-キンソン氏病の発症機構とも関連しうる所見である。抑制性シナプス伝達の亢進は、ド-パミン遮断により線条体・黒質網様部のGABA性シナプスにおけるGABAの放出が減少した結果、黒質網様部ニュ-ロン上のGABA受容体の感受性が亢進したためと考えられた。以上により、ド-パミンの正常な放出が、興奮性シナプス・抑制性シナプスを介して歩行の開始や定位に関与することが考察される。 (2)一側の黒質網様部ニュ-ロンを、イボテン酸を注入して破壊すると、破壊対側に向かう回転運動が生じるが、ネコでは約48時間、ラットでは約10時間で代償される。代償後には、破壊対側の線条体・黒質網様部GABAシナプスの伝達が増強していることがわれわれの先行研究で知られていた。この代償をド-パミンが媒介する可能性を2つの実験によって検討した。黒質緻密部を6ーOHDAで予め破壊しておくと、イボテン酸注入後の代償過程が遷延する。また、脳内微量透析によってイボテン酸注入対側におけるド-パミン放出の増加が示された。これにより、ド-パミンが回転運動の代償氷過程を導びくことが示唆された。
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