研究課題/領域番号 |
02670053
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松田 博子 九州大学, 医学部, 助教授 (10181736)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 内向き整流カリウムチャンネル / ナトリウムイオン / 心筋細胞 |
研究概要 |
心筋内向き整流カリウム(K)チャンネルの内向き整流特性の機序として、電位依存性のチャンネル開閉機構と細胞内マグネシウム(Mg)イオンによるブロックがあることをすでに報告しているが、本研究では、マグネシウムと同様に生理的に細胞内に存在するナトリウム(Na)イオンの効果を調べた。コラゲナ-ゼで単離したモルモット単一心室筋細胞の膜内側をNaを含んだ液(5ー40mM)で潅流すると、内向き整流Kチャンネルの外向き電流の振幅が減少した。電流記録のノイズレベルには変化がなく、減少の程度は脱分極が強くなるほど、またNa濃度が高くなるほど大きい。したがって、Naイオンはオ-プンチャンネルブロッカ-として働くこと、またブロックのキネティクスが非常に速いことが示唆される。Naがない時の電流値を基準に標準化した電流とNa濃度の関係から、1個のNaイオンがチャンネル内部の部位に結合することで、外向き電流がブロックされることがわかった。細胞内外のK濃度が150mMの場合、Kの平衡電位より30mV正側での解離定数(K_D)は90mM、50mV正側で55mM、70mV正側で37mM、90mV正側で25mMであった。K_Dの電位依存性より計算したNaの結合部位の電場内分率は、内側より0.54でMgの結合部位の0.57に近い値であった。Mgによるブロックの際認められたユニット電流の1/3と2/3の大きさをもつサブレベルは、Naによるブロックでは出現しなかった。これは細胞内NaによるブロックがMgの場合よりずっと速いキネティクスでおきるためと考える。 また、細胞外Naイオンの内向き電流に対する効果を調べるため、125mKNaClと25mMKClを含む液を細胞外液として用い内向き電流のキネティクスを調べた。平均開時間は過分極が強まると減少するが、Naの代わりにNーメチルDーグルカミンを含んだ液の場合と、大差がなく、Naは細胞外からはブロッカ-としては働かないと結論した。
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