研究課題/領域番号 |
02670056
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小松 由紀夫 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90135343)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 長期増強 / 大脳皮質視覚野 / カルシウムチャンネル / NMDA受容体 / nonーNMDA受容体 |
研究概要 |
1.視覚体験によって大脳皮質視覚野細胞の反応性が可塑的変化を受ける発達期には、視覚野の白質に条件刺激(2Hz,15分間)を与えるとシナプス伝達の長期増強が起こる。この長期増強の発現機構を生後1カ月の仔ネコから得られた17野の切片標本を用いて調べた。 2.海馬における長期増強の研究や、視覚野細胞の視覚反応の研究から、NーmethylーDーaspartate(NMDA)受容体が視覚野の長期増強の発現に関与する可能性が示唆されてきた。しかし、すでに報告しているように、NMDA受容体の阻害剤は視覚野の長期増強の発現に全く影響を与えない。従って、nonーNMDA受容体によるシナプス伝達が長期増強の発現に必要である可能性が高い。これを検討するために、nonーNMDA受容体の阻害剤であるDNQX存在下で条件刺激を与える実験を行った。条件刺激中はNMDA受容体によるシナプス伝達が引き起こされたが、長期増強は引き起こされず、かえって、シナプス伝達は抑圧された。これらの結果からnonーNMDA受容体を介する反応が長期増強の発現に不可欠であると結論される。 3.シナプス伝達の不塑的変化を引き起こすにはシナプス後細胞内のCaイオン濃度の上昇が引金となっている場合が多い。仔ネコの視覚野の場合NMDA受容体チャンネルを介するCaイオンの流入の可能性は否定されたので、膜電位依存性のCaチャンネルが関与している可能性が強い。これを細胞内記録により検討した。記録細胞を通電により過分極したり、Caキレ-タ-のBAPTAを細胞内に注入しておくと、条件刺激を与えても長期増強は発現しなかった。以上より、条件刺激を与えると、シナプス後細胞にnonーNMDA性シナプス伝達による脱分極が引き起こされ、これにより開かれたCaチャンネルを通って細胞内にCaが流入し、長期増強が発現するものと考えられる。
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