研究概要 |
ド-パミン含有ニュ-ロンに富む腹側被蓋野は側坐核などの辺縁系に投射する。腹側被蓋野にはド-パミンDー1受容体とDー2受容体の両者が存在するが、これらの機能的役割についてはなお不明な点が多い。本研究ではこの両受容体の機能と両者の相互関係を明らかにするために電気生理学的手法により研究を行った。麻酔ラットを用い、7極ガラス管にはり合せた微小ガラス管電極を用い腹側被蓋野ニュ-ロン活動を記録し、微小ガラス管にはド-パミンDー1アゴニストのSKF38393、Dー2アゴニストのキンピロ-ル,Dー1アンタゴニストのSCH23390,Dー2アンタゴニストのドンペリドン,オ-トレセプタ-アゴニストのOPCー4397などを充填し、これらを記録ニュ-ロンに電気泳動的に投与した。腹側被蓋野ニュ-ロンは側坐核を逆行性に刺激することによりド-パミンニュ-ロン(長潜時,スパイク持続が長い)と非ド-パミンニュ-ロン(短潜時,スパイク持続が短い)の2者が存在することが明かとなった。ド-パミンニュ-ロンはド-パミン,キンピロ-ル、OPCー4397により抑制され、この効果はドンペリドンにより拮抗された。一方、SKF38393はド-パミンニュ-ロンに影響を与えなかったが、キンピロ-ルと同時に投与した場合、キンピロ-ルによる抑制を増強した。また、ド-パミンニュ-ロンに対するド-パミンおよびキンピロ-ルによる抑制はSCH23390によって影響を受けなかった。非ド-パミンニュ-ロンはDー1およびDー2アゴニスト、あるいはド-パミンにより影響を受けなかった。これらの成績から、腹側被蓋野ド-パミンニュ-ロンはド-パミンによりDー2受容体を介して抑制を受け、Dー1受容体はこの作用を増強する方向に働いていると考えられる。一方、非ド-パミンニュ-ロンにはド-パミン受容体は存在しないと思われる。
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