研究課題/領域番号 |
02670115
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
蒲生 忍 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90122308)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1991年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1990年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 上皮増殖因子 / レセプタ- / 蛋白キナ-ゼC / 遺伝子発現 / 阻害剤 / リン酸化 / 増殖因子 / 情報伝達 |
研究概要 |
1.レセプタ-の産生変異株を用いた解析 EGFレセプタ-の発現制御は発現のONーOFFを決定する制御と、EGFや発癌プロモ-タ-TPAなどにより促進される“誘導的"制御機構がある。我々はEGFR遺伝子の発現が見られない肺小細胞癌(SCLC)の細胞株(Lu134)とそれから分離したレセプタ-産生変異株(AD320)を用いてEGFR遺伝子の発現制御の機構を解析した。Lu134をTPA処理するとcーfos、cーjun mRNAの増加が見られたがEGFR mRNA、cーmyc mRNAは検出されなかった。AD320ではEGFR mRNA、cーmyc mRNAともに他のレセプタ-産生細胞と同程度に検出され、EGFやTPAで処理するとEGFR mRNAは約2倍に、またcーjun、cーfos、cーmyc mRNAは数倍以上に増加した。従って、SCLC変異株ではEGFR遺伝子の発現に伴いEGFやTPAによる“誘導的"発現制御系が活性化された。 2.PKC阻害剤を用いた解析 EGFレセプタ-の産生を制御する情報伝達系へのPKCの関与を検討するために、PKCの調節ドメインに結合しPKC活性を光依存的に阻害するCalphostinーcを用いてEGFレセプタ-リン酸化やEGFが誘導する遺伝子発現への影響を調べた。細胞をCalーc処理すると光依存的にEGFレセプタ-のトレオニン・セリンリン酸化が促進された。特にセリン残基のリン酸化が特徴的に促進された。従って、Calーcはセリンキナ-ゼを活性化し、EGFやTPA処理と異なる作用機作でレセプタ-リン酸化を促進する可能性が示唆された。また、Calーcはレセプタ-のEGF親和性に変化を与えないが、レセプタ-の細胞内取り込みを促進した。Calーcはcーfosやcーjun等の増殖初期応答遺伝子mRNAの顕著な蓄積を誘導した。さらに、核ラン・オン分析により、Calーcは初期応答遺伝子の転写を促進することが示された。Calーcの誘導するリン酸化は、EGFやTPAの誘導するレセプタ-リン酸化とは異なる機作によると考えられるが、どのようなキナ-ゼによるのか、EGFレセプタ-特異的か、PKCが関与するかは明らかではない。このリン酸化促進に伴うcーfosなどの初期遺伝子の発現誘導の機構も明らかでないが従来知られていた情報伝達系とは異なる可能性がある。
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