研究概要 |
1.反応性リンパ組織(扁桃、リンパ節)と悪性リンパ腫75例においてPKCの活性化と関連性が推測されるオンコジン蛋白(panーras、cーerbBー2,p53)、ホルモンや成長因子とそのレセプタ-(IGFーII;insulinーlike growth factor II、IR;insulin receptor,IGFーIーR insulinーlike growth factor receptor)について免疫組織学的に検討した。1)panーras、cーerbBー2と各種ホルモンやそのレセプタ-は、リンパ球とリンパ腫において全て陰性を呈した。特にGPIアンカリング蛋白を分離し、DAGを産生することが知られるホルモンや成長因子(インスリン、IGFーI、IGFーII、EGF)とそのレセプタ-は免疫組織学的にはリンパ球とリンパ腫には存在しないことからリンパ球ALPにおいて、PIーPLCの作用を介したDAGの産生には今回検索した以外のホルモンや成長因子とそのレセプタ-の関与を考えたい。2)p53はBurkittリンパ腫の9/12例においてリンパ腫細胞の平均29%に陽性であった。Kiー67陽性率との相関はないが、増殖能との関連が推測され、現在も他の組織型との比較を中心に検討中である。 2.Bリンパ球にPIーPLCを反応させ、ALPの遊離に伴うPLC活性の変動を観察した。ALPの遊離に対応し、PKC活性のcytosol分画での急激な低下、細胞膜を含むparticulate分画での一過性の上昇を認めた。ALPの切断に伴いcytosoleのPKCが細胞膜に移動したか、細胞膜PKC自体が活性化された可能性を伺わせた。ALPの切断に従い、PKC活性の修飾がおこることは明らかで、Bリンパ球の分化増殖にリンパ球ALPが大きな役割を果たしていることが示唆された。
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