研究課題/領域番号 |
02670165
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
新村 宗敏 千葉大学, 医学部, 助教授 (60059095)
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研究分担者 |
畑 英一 千葉大学, 医学部, 助手 (00110304)
小林 仁 千葉大学, 医学部, 助手 (80009654)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
700千円 (直接経費: 700千円)
1992年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 旋毛虫 / α-スチコソーム / モノクローナル抗体 / 抗原 / 免疫診断 / 抗原局在 / 治療剤 / 局在 / αースチコソ-ム / モノクロ-ナル抗体 / 防御免疫 |
研究概要 |
旋毛虫筋肉内成熟幼虫(L_1)のスチコソームに局在する抗原とのみ反応するモノクローナル抗体産生融合細胞株の作製を試み、このうちα-スチコソームと特異的に反応するモノクローナルlgG_1抗体(TS32D12)の作製に成功した。TS32D12のAffinity chromatographyにより160kDaの抗原蛋白(Ts-α160)を分離・精製し、すでに旋毛虫症と診断され何れも感染から33日以降の患者血清(13名)について、Ts-α160と粗抽出抗原(Ts-crude)に対するELISAのOD値を比較したところTs-α160はTs-crudeより何れも高値を示し、また諸種寄生蠕虫症患者血清との交叉反応が殆ど見られず、さらに実験的旋毛虫症(マウス)のTs-α160に対する血中抗体価は感染4週以降から出現してくること、TS32D12による蛍光抗体法で、Ts-α160は成虫および幼若虫のα-スチコソームには存在せず、感染から3週以降の筋肉内幼虫より出現してくることなどから、このTTs-α160は旋毛虫感染から5〜6週以降の特異診断用抗原として有用であることを明らかにした。Ts-α160はアスパラギン結合型糖鎖を持つE-S抗原で、加熱(1100℃、2分)によって抗原性は低下した。また旋毛虫L_1幼虫のα-Stichocyteのα-顆粒に存在していることを免疫電顕で明らかにした。 一方、Ts-α160の防御免疫誘導能、またTS32D12をはじめ他に作製されているモノクローナル抗体の防御免疫能を所持するものは発見できなかった。しかし生薬(Embelia ribes)の一成分、embelinのammonium塩がin vitroにおいて本線虫に対し強い殺虫作用を示し、しかもスチコソームの形態を変化させ、特にL_1幼虫では口部に沈降物を形成させた。またこの生成物はTS32D12と強く反応することが蛍光染色で確認されたことから、本生薬成分は治療剤として、さらにTS32D12と共にスチコソームの生理的機能解明のための一工具として利用できる可能性がもたれるに至った。
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