研究概要 |
STh受容体の精製とSTh受容体遺伝子のexpression cloningを行った。 (1)STh受容体の精製:300匹のラットの小腸上皮細胞から刷子縁細胞膜を調製し、0.1%Lubrol PXでSTh受容体を可溶化した。この粗STh受容体を濃縮後、Sephacryl Sー300 HRカラムクロマトを行った結果、分子量200kDaを示す画分にフォトアフィニテイラベリングでSThと結合する3種類の蛋白を検出した。還元状態でのSDSーpolyacrylamide電気泳動(SDSーPAGE)では、これら3種の蛋白の分子量は53kDa、70kDa、77kDaであった。かかるST受容体の分子量の相違は、STh受容体がいくつかのサブユニットから構成されていることを示唆していた。そこで、SDSーPAGEの泳動条件を変えてST受容体のサブユニット構造を証明した。すなわち、STh受容体をSDS存在下で加熱処理もしくは還元剤処理した後に、受容体蛋白の電気泳動位置の変化を解析し、70kDaの蛋白2分子からなるSTRー200Aおよび53kDaと77kDaの蛋白それぞれ1分子からなるSTRー200Bの分子形態を明らかにした。次に、Sephacryl Sー300カラムクロマトで得たSTh受容体画分をCon A Sepharoseカラムクロマト、さらにSTをリガンドとするアフィニティコロマトグラフィによって70kDa,77kDa,53kDaの蛋白をそれぞれ精製することに成功した。現在これらの蛋白の一次構造を解析中である。(2)ラット腸管上皮細胞よりpoly(A)mRNAを調製した。これをもとにcDNAを合成してpCDM8ベクタ-にインサ-トし、Cos7細胞でのST受容体のexpresioncloningを進めている。昨年11月、GarbersらによってST受容体遺伝子のクロ-ニングの報告がなされた。この報告ではST受容体は121kDaの単一ポリペプチドである。しかし、我々の成績では、ST受容体は2量体の分子構造であり、ふたつの成績にはST受容体の分子構造に大きな相違がある。我々のNorthern Analysisの結果は、複数の受容体の存在を示唆したmRNAを検出した。
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