研究概要 |
1.Nー末端アミノ酸配列の決定と抗体の調製.Vibrio alginolyticusにおけるnorspermidineの生合成に関与する三種の酵素,Lー2,4ーdiaminobutyrate decarboxylase(DABA DC),carboxynorspermidine synthase及びcarboxynorsperimidine decarboxylase(CANS DC)を精製し,それぞれの酵素のNー末端アミノ酸配列を決定した.さらに,精製したDABA DC及びCANS DCに対する抗体を調製した. 2.酵素遺伝子のクロ-ニングと大腸菌での発現.陽性クロ-ンの選別は上記の抗体を用いる免疫学的スクリ-ニング法によって行なった.CANS DC抗体と強く反応するクロ-ン1個を得た.このクロ-ン[E.coli HB101(pCDC14)]の粗抽出液中のCANS DC比活性はV.alginolyticusのそれの約3倍であった.更に,Western blotによってV.alginolyticus CANS DC(43500 Da)と一致する蛋白バンドが認められ,E.coliにおいてCANS DCが発現していることが示めされた.本遺伝子をpUC18に逆位に挿入しても,酵素活性は変化しなかったので,promoter領域もcloningされていることが示唆された.欠失プラスミドの分析によって最小断片2kbp(pCDC14ー1)にCANS DC遺伝子が特定された. 3.CANS DC遺伝子の塩基配列の決定と解析.pCDC14ー1よりnested deletionプラスミドを作成し,promoter及びterminator領域の塩基配列を決定した.既に決定したMetから始まる20種のアミノ酸配列と完全に一致する塩基配列が同定できた.ー35,ー10のpromoter領域及びSD配列も認められた.3'ー領域の妥当な部分にTAA termination codonとρー非依存性のterminator領域が同定され,CANS DC全遺伝子のクロ-ニングが完了した.DABA DCの他細菌における分布.Acinetobacter calcoaceticusよりDABA DCを精製し,V.alginolyticus DABA DCとNー末端アミノ酸配列,抗原性などを比較し,興味深い差異を明らかにした.
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