研究概要 |
MCLAとPMA(phorbol mgristate acetatd)の組合せによる実験をマウス肝潅流系に持込み生体反応を直接みるEx vivoにおけるMCLA依存性化学発光法で食細胞の機能を追跡した。無菌マウス感染群におけるEx riveのMCLA依存性化学発光反応では,感染後7日,14日と経過するに従いその値の上昇傾向が観察された。普通マウス感染群では,肝潅流によるEx vivoのルシフェリン依存性化学発光法では感染後3日目で最高値を示した。Kupffer細胞を分離してザイモサン刺戟によるMCLA依存性化学発光反応を無菌マウス感染群と普通マウス感染群との間で比較検討したが,両群におけるKupffer細胞の反応のパタ-ンはザイモサンで刺戟した場合でも,刺戟しない場合でも著明な差はみとめられなかった。Ex vivoにおけるMCLA依存性化学発光反応のバタ-ンをみると,PMAで刺戟した場合には,刺戟しない場合に比して,その値が高く評価され両者の間に比較的著明な差が観察された。 無菌マウス及び普免マウス感染群においてEx vivoでのO^ー_2産生パタ-ンの追跡の結果得られた成績と,感染過程を通じて観察された肝における肉芽腫性点病病変の変化及び肝,脾から回収された菌数との間の相関関係を検討する時,肝の肉芽腫性病変の強弱と,病巣から回収された感染菌の菌数の多寡との間に平行関係がみとめられないという成績が得られた。これは感染病原菌(ネズミチフス菌)と肝に形成された肉芽腫性病変との間に直接的な因果関係が成立しないという細胞内寄生性菌の感染病の病態の存在が示唆されたものとして興味深い。 以上のようにネズミチフス菌の病原性発現機構には,本菌の感染により誘導される組織病変に対する免疫反応による組織傷害またはその機構の中で誘導される宿主側因子(O^ー_2)などによる病変形成といったメカニズムの関与が強調されるところである。
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