研究課題/領域番号 |
02670192
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
余郷 嘉明 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60092376)
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研究分担者 |
原 和矢 北里大学, 衛生学部, 助手 (60164993)
北村 唯一 東京大学, 医学部, 講師 (70010551)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | JCウイルス / 転写調節領域 / 分離株 / 塩基配列 / 病原性 |
研究概要 |
最近の我々は、一般のヒトの尿からJCウイルス(JCV)DNAを初めて分子クロ-ニングし、このJCV(JCーWT)は一定の調節領域の構造を保持していること、従来のPML患者から分離されたJCV(JCーPML)の多様な調節領域はJCーWTの調節領域から欠失と重複により作り出せることを明らかにした。本研究では先ず、免疫抑制治療を受けている腎移植患者の尿からJCV DNAをクロ-ニングし、転写調節領域の変化が宿主の免疫抑制状態により誘導されるかどうか検討した。9名の腎移植患者の尿から得られた多数のクロ-ンの調節領域を制限酵素により解析し、また塩基配列の決定を行った。その結果、151クロ-ン内の147クロ-ンがJCーWT型の調節領域を持っていること、一部(4クロ-ン)は再編成型の調節領域を持っていることが明らかになった。この結果は、免疫抑制状態にある患者の体内で調節領域の再編成が起きることを示している。次に免疫抑制を受けていないオランダ人、ドイツ人、台湾人各5名の尿からJCV DNAをクロ-ニングし、調節領域の構造を調べた。大部分のクロ-ンの調節領域は、日本人に由来するJCーWTの構造と一致した。この結果はJCーWTが世界中に広く分布していることを示唆している。さらに我々が得た日本及び世界各国のJCーWTと他の研究者によって得られた数種のJCーPMLとを制限酵素切断点解析により比較した。その結果、JCーWTもJCーPMLも二つのタイプの何れかに分類されること、またあるJCーPML株はあるJCーWT株と進化論的には近縁であることが示された。以上の結果は、JCーPMLは自然界に独立した株として存在しているのではなく、患者の体内でJCーWTから調節領域の再編成により出現することを示唆している。
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