研究課題/領域番号 |
02670201
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲葉 カヨ 京都大学, 理学部, 助手 (00115792)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1990年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 樹状細胞 / 抗原提示細胞 / T細胞活性化 / 抗原特異性 / MHC拘束性 |
研究概要 |
樹状細胞は異系混合白血球応答において強力なT細胞活性化能を発揮することが知られている。しかし、食作用能をもたないとされていることから、外来抗原に対する特異的なT細胞の活性化において抗原提示細胞として機能できるのかどうかについて疑問がもたれていた。本研究では、この問題に焦点を当て解析を試みた。 蛋白抗原を尾静脈より投与した後、脾臓から調製される樹状細胞を含む低密度付着性細胞は新たに抗原を添加することなく抗原特異的T細胞の増殖応答を誘導できた。ところが、この細胞集団から樹状細胞を特異抗体と補体により選択的に除去することによりT細胞応答は認められなくなった。また、樹状細胞を分画精製し、それ以外の細胞の活性と比較したところ、樹状細胞集団に強い活性が検出された。これらの結果は、生体内においては、樹状細胞が食作用機能を保持していることを示唆している。この点を明確にするため、精製した樹状細胞の培養中に抗原を経時的に添加し洗浄した後、抗原特異的T細胞の活性化を検討した。培養開始時に抗原を添加した群ではT細胞応答が誘導されたが、1日以上経過した樹状細胞に抗原を添加しても抗原の提示は認められなかった。したがって、樹状細胞の食作用能は培養開始後急速に低下すると考えられる。生体内においてあるいは培養過程で抗原をパルスした樹状細胞をマウス足蹠に接種すると、所属リンパ節へと移動し、そのT細胞依存性領域に集積した。そして、パルスに用いた抗原に特異的なT細胞を活性化することが示された。また、活性化されるT細胞は樹状細胞の組織適合性クラスII抗原に拘束されていることも明らかになった。一方、マクロファ-ジではこのような機能は検出できなかった。以上の結果より、樹状細胞は生体内において外来抗原を捕食・分解して提示することにより抗原特異的T細胞を活性化を誘導していることが明らかになった。
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