研究概要 |
雑音信号発生器を用いて,種々の周波数の純音,つまり10K〜30KHzまでの高周波音域の種々の純音の影響力の程度を種々の音圧で一定時間のどのような組合せが内耳の機序の障害条件になるかをモルモット蝸牛を用いてCM,APおよびEPを測定した。EPについては特にそのLatency,negative potential等の変化を把握した。さらにnegative EPを規定する内耳リンパ液のK^+イオン濃度の変化も電気生理学的方法によって追求した。その結果,CM,AP電位の変化,10K〜30KHzの種々の騒音暴露条件下において16KHzの被暴が最も影響が大きかった。16KHz以上の周波数の純音被暴ではその影響はかなり小さかった。しかしEP電位の変化(negative potential)をみてみるとどの周波数の場合の被暴でも80dB40hrsの場合にLatencyの遷延傾向,negative potentialの絶対値(mv)の減少がみられた。またsingle barrelガラス管電極(カリウムイオンexchanger封入)により,内リンパのK^+イオン濃度を求めるとコントロ-ルの内リンパのK^+イオンの濃度に対比して約10mM程度の変化が認められた。これらのことはultrasoundによる内耳コルチ器への物理的な影響は16KHzを境界として変化があること,しかしultrasoundが内耳のscala mediaのstria vascularisの血液に対する影響を介するK^+イオンの変動は広範囲の周波数の騒音暴露にみられることは,騒音による聴器への影響には自律神経系への影響が重要な役割を果しているものと考えられた。
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