研究概要 |
平成2年度には,singleーlocus DNAプロ-ブの個人識別・親子鑑定における有用性について検討を行った.用いたプロ-ブと制限酵素の組合せは,pYNH24ーMspI,pYNZ22ーMspI,pYNZ2ーRsaI,NR24/1ーHinfI,3'globinーPvuII,MucinーPvuII,HaーrasーPvuIIである. 上記のプロ-ブと制限酵素の組合せを用いて日本人集団(138〜236名)における遺伝子頻度を求め,排除率・probability of matchingを得た.pYNH24ーMspIで対立遺伝子数は33,排除率は0.89であった.pYNZ22ーMspIでは対立遺伝子数15,排除率0.83,pYNZ2ーRsaIで対立遺伝子数5,排除出0.29,MR24/1ーHinfIでは対立遺伝子数37,排除率0.92,3'GlobinーPvuIIでは対立遺伝子数39,排除率0.86,MucinーPvuIIでは遺立遺伝子数10,排除率0.35,HaーrasーPvuIIでは対立遺伝子数5,排除率0.25であった.これら7種プロ-ブの総合排除率は0.999932という高い値となった.また各々について得られた2random personのprobability of matchingを総合いると,3.55×10^<-11>という優れた値が得られた.以上よりsingle locus DNAプロ-ブは,個人識別・親子鑑定に極めて有用であることが明らかになった. 平成3年度にはPCR法による個人識別・親子鑑定について検討を加えた.Apo B遺伝子の3'末端領域に存在する反復配列数の相違に基づく遺伝的多型を日本人集団(134名)について検討した.その結果,14種類の対立遺伝子が検出され,反復配列数41(遺伝子頻度0.52)を中心に一峰性に分布していた.排除率は0.478,probability of matching(2random persons)は0.130であった.またRichardsらの報告した第4染色体上の繰返し配列(YNZ32)を増幅させるプロイマ-を作製し,日本人集団における多型性の検討を始めている.
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