研究概要 |
1.ヒト心筋アクトミオシンの各種病態における変化 中年対象者の心筋アクトミオシンを調べ,虚血性心疾患対象者のミオシン・トロポニンに蛋白分解を高頻度に認め,ATPase活性も変化していたが,心肥大による変化は認めなかった.単冠動脈症の一例の虚血部及び非虚血部のアクトミオシンに蛋白分解や顕著なATPase活性の変化を認めなかった. 2.心筋カルモジュリンの組織化学的研究 冠動脈結紮犬心筋や突然死症例の心筋におけるカルモジュリン局在を酵素抗体法により調べた.収縮帯,水腫様変性あるいは明白な病変を欠く部分のカルモジュリンの染色性が亢進していた.これは細胞内カルシウム濃度の上昇に対応していると思われ,早期心筋虚血の診断法としても従来よりの方法に優ると思われる. 3.各種外因死における心筋病変 若年者外因死症例の心筋を調べ,突然死症例の外因・内因の関与について検討した.墜転落症例,開胸蘇生例,脳死遷延例等の心筋に,内因性病変と鑑別不能な組織学的変化及び通常の組織学的検査法で検出不可能なカルモジュリンの変化を見い出した. 4.急性アルコ-ル摂取の血小板凝集に対する影響 飲酒中の急性心臓死をよく経験するので,健常者に飲酒させ,経時的に採血し血小板を分離して,その凝集能を調べた.個体により,あるいは凝集惹起物質により,凝集亢進や阻害がみられ,一定しなかった.尚症例を増やし,条件を調べて検討したい.
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