研究概要 |
自己抗体(リウマチ因子、抗核抗体,抗DNA抗体、抗typeIIコラ-ゲン抗体、抗calphobindin抗体、抗サイログロブリン抗体)陽性の老人、膠原病患者、及び若年健常者から未梢血リンパ球を採取し、自己及び非自己(テタヌストキソイド、DNCB等)の各種抗原と反応するT細胞クロ-ン(細胞株)を樹立した。老人由来で自己及び非自己と反応するものをそれぞれOS_<1,2,3,>…,ON_<1,2,3,>…と名づけた。膠原病患者由来のものはそれぞれDS_<1,2,3,>…,DN_<1,2,3,>…と、若年健常者由来のものはそれぞれYS_<1,2,3,>…,YN_<1,2,3,>…とした。これと並行して,樹立T細胞株に対する抗イディオタイプ・モノクロナ-ル(単クロ-ン性)抗体をハイブリド-マの方法によって作製した。これらの方法によって樹立T細胞株の性質を分類してゆくと、老人及び健常者由来の自己反応性クロ-ンは、同時に非自己抗原とも反応するものが多く認められた。これに対し膠原病由来のそれは、特定の自己抗原に反応が限定されているように考えられる傾向を示唆する結果が得られた。また、モノクロナ-ル抗体によって認識される抗原認識レセプタ-のイディオト-プの差異が存在する結果も得られた。今後は、これらの基礎的結果を基に老化に伴う自己反応性T細胞出現のメカニズムが老化に伴う自己抗体産生とどの様な関係にあるか明らかにしたい。また,SCIDやヌ-ドマウスを用いて、自己応性T細胞株の病因編的意義も明らかにしたい。現在、樹立T細胞の持つ抗原認識レセプタ-のmRNAからcDNAを作製し、PCR法で増幅し分子、遺伝子のレベルからも解析を進めている。
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