研究概要 |
1)Invasion chamberを用いた培養肝細胞癌の転移と浸潤能 pore sige 13μmのケモタキスフィルターに再構築基底膜ゲル50mgを被覆し、上室に培養肝癌細胞(HuH-7,PLC/PRF/5)を播種してフィルター下面への癌細胞の通過能をIn vitroの転移能モデルとした。両培養肝癌細胞ともそれ自身ではフィルターの通過能力は認められなかった。一方、基底膜ゲル通過能が確認されているマウスメラノーマ株B_<16>を上室に播種したところ、細胞は基底膜ゲルを溶解しながら浸潤する像が認められた。そこで、上室の肝細胞培養上清にB_<16>メラノーマ培養上清を添加すると肝癌細胞に基底膜通過能力が発現され、細胞形態も突起様変化が生じることが確認された 2)転移促進分子の解析 B_<16>メラノーマと肝癌細胞培養上清中のIV型コラーゲン分解酵素活性を検討すると,B_<16>とPLC/PRF/5の上清中に酵素活性が認められたが、その大部分はAPMA添加により活性化される不活性型のものであった。B_<16>メラノーマ培養上清をSephacryl 200でゲル濾過して分子量を検討したところ、この転移促進分子は分子量約37KDであった。このことより、この分子はautocrine motility factor,IV型コラーゲン分解酵素やbasic FGFとは異なることが明らかになった。 3)肝細胞癌の機能的診断 本研究をIn vivoに還元する為には、生検材料を生細胞のまゝ診断することが必要となる。そこで肝癌細胞がIndocyanine green(ICG)を取り込まない点に着目して、ICG静注後肝生検法を考案した。この方法によると、ICGの取込みがない組織は95%以上が肝癌で、ICG取り込みの消失は細胞内リガンディンである(Glutathione S-transferase αの減少と有意な相関があることを明らかにした。
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