研究概要 |
1.PIVKAーIXおよびPIVKAーXに対するモノクロ-ナル抗体の作製 現在用いられているPIVKAーIIに対するモノクロ-ナル抗体は,抗原となるPIVKAーIIのカルボシキル化の程度によって反応性に違いがみられる.より詳細なPIVKAーIIの研究には全てのPIVKAーIIと反応するモノクロ-ナル抗体が必要である.この点を考慮して,当初はPIVKAーIX,Xに対するモノクロ-ナル抗体の作製の方針であったが,全てのPIVKAーIIに対するモノクロ-ナル抗体とPIVKAーIXに対するモノクロ-ナル抗体の作製に変更した.NativeなPIVKAーII,PIVKAーIXの精製に備え肝癌培養細胞株huHー2の培養上清を保存した.抗FーII,FーIXのモノクロ-ナル抗体の作製は,腹腔内投与で免疫したマウスの脾細胞を取りポリエチレングリコ-ルによりミエロ-マ細胞と融合させ抗体産生クロ-ンを得る方法に依った.クロ-ンの検索はFーII,FーIXをcoatingしたアッセイプレ-トによるELISA法を用いた.FーIIでは16種類,FーIXでは24種類の抗体産生株を確立した.これらの細胞をマウスの腹腔内に接種し,腹水を精製して,まずFーIXに対するAffinityカラムを作製した.これを利用して保存上清からPIVKAーIXを精製してモノクロ-ナル抗体を作製する予定である.PIVKAーIIについてはカラムを作製中である. 2.PIVKAの産生機序 肝癌組織より超遠心法でマイクロソ-ムをとり可溶化し,γーglutamyl carboxylase活性を測定した.肝癌でも同酵素の欠損はなく,前駆体の過剰産生を示唆する高活性が示された.肝癌組織のvit.KをHPLC法で測定したところ,vit.Kの大量負荷時には肝癌のvit.Kの取り込みが低下することが示された.またヌ-ドマウスに肝癌培養細胞を移値した新たな実験モデルを作製した.このモデルは肝癌のvit.K感受性等の検討に有用であった.
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