研究課題/領域番号 |
02670334
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本宮 雅吉 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (20006092)
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研究分担者 |
阿部 達也 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (70222651)
佐藤 研 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (00215782)
永井 宏美 東北大学抗酸菌病研究所, 助手 (60217958)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1990年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 肺癌 / 肺線維症 / フイブロネクチン / ラミニン / レセプタ- / 分子生物学 / ラミニンレセプタ- / 肺腺維症 / フィブロネクチン / ラミニンリセプタ- / 免疫組織染色 / 肺胞マクロファ-ジ |
研究概要 |
1.最近約6年間で当科に入院した肺線維症44例中、28例に肺癌合併を認め、肺癌の発生頻度が高率であることを認めた。 2.実際に研究に供せられる新鮮(手術)材料は極めて限られた量であり、効率よく組織中のFNの所在やその多寡を知るには組織切片の観察が適していると考えられる。肺線維症組織では肥厚した肺胞壁、基底膜にFNの沈着が著明であった。一方、肺癌組織では組織型によりFNの染色態度はまちまちであり、一般的に未分化なものほどFNが濃染していた。肺線維症に合併した肺癌は分化した扁平上皮癌と腺癌が大部分であり、FNで見る限り単純な線維症からの移行とは考え難かった。 3.肺癌症例と肺線維症症例の組織間での各種細胞接着タンパク(特にフィブロネクチン、ラミニン)に注目し、量的、質的差異を検討した。その結果、フィブロネクチンでは、低分子化した画分の増加が線維化肺で認められ、ヘパリン親和性の低い画分の増加が肺癌例で認められた。これに対し、ラミニンでは組織での発現量に遺伝子レベル、タンパクレベル何れにおいても差異を認めなかった。肺胞洗浄によって得られた肺胞マクロファ-ジにおけるラミニンの発現率は、健常人の場合に比し肺線維症群で上昇していたが他の瀰慢性肺疾患例との有意差は認められなかった。 4.以上の結果から、肺線維症と肺癌の因果関係は細胞接着タンパク側からのみならず、それらに対するレセプタ-側からも検討を要すると考えられた。そこでまず、ラミニンレセプタ-のうち特異性、親和性の高い67kDaラミニンレセプタ-(以下LNR)に注目してその抗体を作成し、さらにcDNAをクロ-ニングした。抗体は既に発表されていたアミノ酸配列の一部をペプチド合成し家兎に免疫して得た。担癌患者より得られた肺胞細胞を抗LNR抗体を用いて免疫染色した結果、肺胞マクロフア-ジに比し肺癌細胞が濃染する事が分かった。肺癌細胞より得られたcDNAは最大長1.2kbで、LNRを構成する37kDaポリペプチド(37LRP)をコ-ドしていた。LNRのタンパク、mRNAレベルの発現を様々な細胞で検討したところ、肺癌細胞(特に、付着型細胞、低分化未分化癌)での高度の発現の他、肺線維症由来肺胞マクロファ-ジでの発現の昂進も認められた。 5.今後さらに症例を重ね、肺線維症と肺癌発生の関係を細胞接着タンパク及びそのレセプタ-の角度から検討する必要があると思われる。
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