研究概要 |
1.肺癌共通抗原蛋白の精製とアミノ酸配列の決定 a)抗原の精製 抗原は種々の肺癌組織をNPー40で可溶化し,抗体アフィニティカラム(Tresylーactivated Sepharose 4BにTFSー2モノクロ-ナル抗体をカップリングさせたもの)を用いて精製した.サンプルは2回アフィニティカラムを通じた.NPー40の除去,及びサンプルの濃縮にメタノ-ル沈澱を行った.SDSーPAGEで33kD,37kDの位置に二本のバンドが認められ,そのうち,33kDのバンドはWestern BlotでTFSー2抗体と反応した. b)アミノ酸配列の決定 33kDのバンドを膜に転写し,Nー末端アミノ酸配列を分析し,その結果,20残基のアミノ酸配列が決定された.現在,ホモロジ-の検索及びTFSー2抗体の認識するEpitopeが蛋白部分であるが,糖鎖の部分か検討中である. 2.COS細胞を用いての遺伝子の解析 前回,肺小細胞癌のcDNAライブラリ-をλgt11で作成し,大腸菌で抗原の発現を試みたが不成成に終わった.そこで今回は,新たに肺小細胞癌細胞株NCIーH69よりmRNAを抽出し,ほ乳類細胞上の発現ライブラリ-を作成してCOS細胞にトランスフェクトした.抗原が発現されたクロ-ンを, ^<125>I標識TFSー2抗体を用いて,スクリ-ニングした.スクリ-ニングしたCOS細胞をNPー40で可溶化し,上記のアフィニティカラムを通しウェスタンブロットでTFSー2との反応でCOS細胞が目的の物質を発現していることが確認された.その結果TFSー2と反応する物質をコ-ドするcDNAクロ-ンの単離に成功した.現在、DNA塩基配列を調べている。 3.精製抗原を用いたSecond Generationのモノクロ-ナル抗体の作成現在数種類の,抗原に反応するHybridoma cellsが産生できた.クロ-ニング中であり,TFSー2との異同は同定できていない. 以上,当初予定した研究課題は,ほぼ完成した.
|