研究概要 |
特発性肺線維症(IIP)は肺に線維化をきたす原因不明の症患で,線維芽細胞増殖とコラ-ゲン産生により病変が形成され,その際各種サイトカインの関与が考えられる。本研究はIIP患者肺胞マクロファ-ジ(AM)の病変形成へのかかわりを検討した。正常AMとIIP患者AMを5×10^5/mlに調整し,これにγ又はαIFNを添加し48時間培養し上清を回収。AM培養上清中の線維芽細胞増殖因子活性を検討するため,線維芽細胞培養株(1×10^6/ml)中に20%濃度となるようAM培養上清を添加し7日間培養后線維芽細胞への^3Hthymidineのとり込みを測定。結果,正常者AM培養上清に比べIIP患者AM培養上清添加時に取り込みの亢進を認めた。この結果はγ又はαIFNのいずれでも同様であった。以上よりIIPAMはIFN存在下で線維芽細胞増殖因子を多量に産生することが判明,又一方AMより産生されるIL1,TNFには線維芽細胞増殖作用があり,IL6には増殖抑制作用があるといわれるが,我々の検討でもリコンビナントIL1,TNFの添加培養で線維芽細胞の^3Hサイミジン取り込みは亢進し,IL6では取り込み低下を認めた。次にIIP患者AMより産生される線維芽細胞増殖作用にどのサイトカインが重要であるか検討した。正常AMIIP患者AMからIL1,INF,IL6産生能をγIFN添加,非添加で比較した。IL1はRIA法,TNF,IL6はELISA法で測定。IIP患者AM,正常者AMは無刺激ではIL1,TNF産生は全んど認めないが,γIFN刺激により,IL1,TNF産生がIIPにおいて有意に抗進した。IL6では両群で差を認めなかった。IIPにおいてはAMが病変形成に密接に関連しており,線維芽細胞増殖因子としてはIL1,TNFが重要であり,IL6の病変形成への関与は少ないと考えられた。
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