研究概要 |
(1)免疫細胞化学的研究:3例の家族性筋萎縮性側索硬化症(fALS),2例のfALS類似の病理像を示す孤発性運動ニュ-ロン疾患,5例の孤発性下位運動ニュ-ロン疾患(LMND),および5例の古典的筋萎縮性側索硬化症(ALS)のパラフィン包理脊髄標本について,種々の細胞骨格蛋白に対する抗体を用い,ABC法により免疫染色を行った。まず,ヘマトキシリン・エオジン染色との対応により,これまで抗ユビキチン抗体による免疫染色でしか検出できないといわれていた,線状の新しい封入体“skeinーlike inclusion"が,明瞭に検出可能であることを示した。ついで,免疫電顕を追加することにより“skeinーlike inclusion"の超微構造を世界ではじめて明らかにした。すなわち,この封入体はニュ-ロフィラメントよりもやや太いと思われる細線維が束状に集まったものであり,しばしばその中央部には細線維がなく光顕上管状に見えることがあるのに対応していることも明かとなった。 (2)生化学的研究:運動ニュ-ロン疾患の脊髄に含まれるユビキチン化封入体はごく少量であるため,現在ほかのユビキチン化封入体を多く含む疾患において測定方法の開発を進めている。
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