研究概要 |
1.赤血球・脳内グルタチオンペルオキシダ-ゼ活性の測定法の確立。 溶血赤血球50μlあるいは脳の0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)ホモジェネ-ト30μlに10mMNaN_3,4mMGSHを添加し,37℃10分間インキュベ-ト後,5mMH_2O_2を加え37℃5〜7.5分間インキュベ-トする。1.2M過塩素酸を加え,フィルタ-で濾過後の上清について,GSH濃度をHPLCで測定する。GーPx(U_k)={log([GSH]_O)/([GSH]_T)ーlog([GSH]_O)/([GSH]_S)}×(Vi)/(Vs)×1/t 但し,[GSH]_O:t=0のGSH濃度,[GSH]_S:サンプル=0のGSH濃度,(Vi)/(Vs):酵素サンプルの稀釈倍数。 これにより微量の赤血球の脳のGーPx活性の測定が可能となった。 2.神経変性疾患における赤血球GSH・GSSH濃度・GーPx活性の測定。 パ-キンソン病・脊髄小脳変性症などにおいて赤血球GSH・GSSH濃度,GーPx活性の測定を行っているが,未だ症例数が少なく,今後更に多くの症例について検討を行う予定である。 3.神経変性疾患において,神経伝達物質の前駆物質である血中アミノ酸および髄液中アミノ酸と神経伝達物質の代謝産物である髄液中MHPG,HVA,5ーHIAAとの相関および変化についても,未だ症例数が少ないため,今後更に多くの症例について検討を行う予定である。 4.ウシの心臓のミトコンドリア分画を用いて,MPTPの代謝産物であるMPP^+の添加で,ス-パ-オキサイドが発生すること,さらにNADHー依存性マロンジアルデヒドが形成されることから,MPTPの神経毒性はミトコンドリア内で活性酸素を発生させ,その結果脂質の過酸化をおこすことによることが示された。 5.シスチアミン(CEA),ジメルカプロ-ル(DMC)をマウスに前投与すると,MPTP投与に伴う線条体内DA,DOPAC,HVAの減少,GSHの減少,GSSG/GSH比の増加は抑制され,SH基をもつ薬物はMPTPの神経毒性を脳内グルタチオン代謝の変化を介して抑制することが示された。
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